2017年3月25日土曜日

2017.03.23 『京都文具大全』

編者 佐藤 紅
発行所 光村推古書院
発行年月日 2016.07.21
価格(税別) 2,200円

● 章立ては次の5つ
 1 したためる
 2 かきとめる
 3 たずさえる
 4 ととのえる
 5 たしなむ

● 京都と銘打って紹介するからには,和文具ってことかと思った。そうでもあり,そうでもなし。
 和綴じノートや文箱や和包丁に連なるナイフなんかも紹介されているんだけど,普通のノートやボールペンも登場する。

● 最初に登場するのは鳩居堂の便箋。鳩居堂って銀座が発祥だと思ってたんだけど,京都の和文具メーカーだったんだねぇ。知らなかったよ。

● 筆と墨,硯は出てこない。絵筆は和物が紹介されているんだけど,書道用具は出てこない。京都だからといって,書道人口が多いというわけでもないのかもしれない。
 ただし,筆ペンはいくつも紹介されている。

● 京都大学総合博物館のミュージアムショップで販売している「フィールドノート」は600円。これ,中身は測量野帳ではないか。
 判型やページ数は測量野帳とまったく同じではないのだろうけど。メーカーはコクヨってことになる。

● 京都の文具店といえばアンジェ。首都圏でもいくつかの店舗を展開している。上野駅構内にあるアンジェには,上野に行くたびに立ち寄る。機会があれば河原町の本店に詣でたいものだ。
 そのアンジェでは美篶堂とコラボして高級ノートを出している(って,実際には美篶堂が作っているわけだが)。高級とはいっても,A5判152ページで780円だから,びっくりするほど高いわけではない。専用カバーにセットして使う。カバー込みでも2,280円。モレスキンなんか買うよりずっといいと思うがな。

● とはいえ,ぼくはダイスキンの人だ。京文具に対しては,本書の写真を見て,ほほぅと唸って,それで終わるのだ。

2017.03.20 『カワイイふせん活用BOOK』

編者 Killigraph(瀬川卓司)
発行所 玄光社
発行年月日 2013.07.01
価格(税別) 1,400円

● この本も付箋を使ってお仕事の生産性を上げましょうという内容ではない。付箋を使って遊びましょうよ,ということ。だから,付箋ではなく“ふせん”なのだよね。

● 付箋を折紙にするとか,付箋で切り絵を作るとか,その他,そんなことまでするのかという遊び方の提唱。
 で,この本で提唱されている遊び方は洗練の極みといってもいいもので,たとえば美術館巡りだとかコンサートホールでクラシック音楽を聴くだとか,そういうどこか人頼みというか,社会依存性の高さを感じさせるものより,はるかに自立と洗練の度が際だつものだ。

● つまり,文化の爛熟を感じさせるもので,1945年以来,戦争をしていないことの果実というのが,こういうところに顕著に見られると思う。大げさに言えばね。
 女性が文化の担い手であるのは,紫式部以来の(それ以前からかもしれないが)この国の伝統だ。

● 付箋を仕事に使っている例は「Epilogue」に出ている。編者が本の台割りを作るのに付箋を活用しているのを紹介しているところ。
 これは非常にわかりやすい,つまり洗練度の低い例だ。

2017.03.20 『おたより手帖 封筒のいろいろな楽しみ方』

編者 Killigraph(瀬川卓司)
発行所 東京地図出版
発行年月日 2010.05.10
価格(税別) 1,550円

● 世界各国のいろんな封筒を紹介していたり,オリジナル封筒の作り方を載せていたり。女性のクリエイティブを助けるための本。
 という,区分けを安易にしてはいけないのかもしれないけど。でも,こういうものに興味を向けることのできる男性はほとんどいないでしょうよ。

● ただし,そういう本の作り手の中心にいるのは男性なんだよね。ビジネスの仕方も知っていないと本は作れないよってことなんだろうかね。

● そのビジネスの話に封筒が登場するのが巻末の座談会。
 宇田川 私は以前,取材でハグルマ封筒の杉浦社長のお話を聞いて,改めて封筒ってすごいなと思ったんです。杉浦さんが,「相手の懐に,唯一入り込めるのは封筒だ」っておっしゃっていて。 永田 そうなんです。営業でも,新規の取引先に電話やメールではなく手紙を送ると,やればやるだけ成果がでたりする。手紙って,気持ちが伝わるんですよね。(p106)
● 登場するといっても,以上ですべて。
 つまりこの本は,メールやフェイスブックのメッセンジャーではなく,紙の便箋に書いて封筒に入れて相手に送る(贈る)のを趣味にしている,あまり数は多くないであろう遊び人に向けたもの。

2017.03.20 『文具の定番365』

編者 酒井彩子
発行所 枻出版社
発行年月日 2013.12.10
価格(税別) 933円

● ロディアには「デザイナーや建築家などにも愛用者が多く,ポール・スミスがロディアを愛用しているのは有名」(p26)らしい。
 最近はロディア製品にもいろんなアイテムがあるけど,ポール・スミスが愛用しているのは,メモブロックなのでしょうね。

● ベルギーのノートメーカー「ブレポルス」の製品(の一部)には,“Life is hectic,paper is patient”という章句があるらしい(p52)。“人生は多忙だが,紙は忍耐強い”という意味。
 「忙しい時こそ紙に頼り,頭の中のアイデアやするべきことを何でも自由に書き留めよう」ということのようなのだが,忙しいときにノートを開くってのがなかなかできない。急がば回れという諺もあるのだけれど,わかっちゃいてもできない。

● PARKERはアメリカのブランドだと思っていた。イギリスだったのか。恥ずかしすぎる勘違い。

● 「文具店主&スタッフのふでばこ拝見!」「文具店主&スタッフのノートとメモ帳拝見!」という記事があって,これは面白いというか,興味を惹かれるというか。
 ラミー・サファリに人気があるんだなという印象。もっとも,こういうものは編集の仕方でどうにでもなるものだし,このムックが出てから3年が過ぎているから,今もそうなのかどうかはわからない。

● 「値段でははかれない“価値ある”文具を選びたい」「愛着を持てる文具に出会いたい」が副題。
 文具の価値とか愛着とかってのは,最初から商品に備わっているものではなくて,その商品を使っていく過程で自分が作っていくものでしょう。
 それをさせない粗悪な商品もあるにはあるのだろうけど,今どきだとまずたいていのモノは愛着が持てる程度の水準は備えている。使いづらいところに愛着を持つ人もいるしね。

2017年3月22日水曜日

2017.03.18 『文房具図鑑』

著者 山本健太郎
発行所 いろは出版
発行年月日 2016.03.31
価格(税別) 1,500円

● 副題は「その文具のいい所から悪い所まで最強解説」。著者は小学6年生の男の子。「夏休みの自由研究で,約170個もの文房具を独自のコメントや絵で紹介した,100ページにもわたる図鑑を作ってしまった」。
 その自由研究に編集担当と細かく補正を加えて出版した。

● 生意気なコメントがたくさん出てくる。が,実際に使ったうえでコメントしているので,生意気だけで片付けるわけにはいかない。
 しかも,その生意気さがこの本の一番の味になっている。小学生の生意気さがこの本の価値の第一だ。

● そのコメントに対して,メーカーがコメントしている。これも面白い。メーカーのコメントを先に読んでから,本文を読んだ。
 ただし,コクヨと北星鉛筆は個別のコメントは出していない。ちょっと読みたかった気がするねぇ。

● これだけの数の文房具を実際に買って使っているというのが凄い。お金も相当かかっているのではないか。
 高級な万年筆はさすがに取りあげられないけれども,万年筆じたいは登場する。パイロットのカクノ。千円万年筆といえども万年筆だ。小学生が万年筆を使って,その評価をするというのは驚きだ。

● 「あとがきのあとがき」を読むと,買わないで文具店の店頭で試し書きをした程度のものもなくはないように思える。それで,何となくホッとした気分になるのはどうしてかね。

● 今の山本君はどうしているんだろう。小学校の自由研究で気がすんでしまって,もういいやってことになっているか。
 それとも,さらなる文房具探索に明け暮れているんだろうか。だとしたら,いよいよ凄い。子どもって飽きやすいのが取り柄だ。小学生のときに掴んだヒモをずっと握っていられるのは,それだけで希有なことだ。

2017.03.18 『手帳事典』

監修者 日本手帖の会
発行所 玄光社
発行年月日 2015.10.01
価格(税別) 1,600円

● 昔は手帳といえばビジネス手帳に決まっていた。厳密には違ったけど,色は黒が圧倒的に多かった。手帳はお仕事の道具なのだった。
 ゆえに,手帳にはダサさがあった。オッサンが使うものだもん。女性は手帳を持たない人が多数派だったのではないか。

● その感覚を今も引きずっている人がもしいたら(いないと思うけど),時代錯誤の誹りを免れない。お仕事手帳が今でも最も多いだろうけれど,そうじゃないのがたくさんある。
 そうじゃないのを仕事に使っている人もいるだろうし,お仕事手帳を仕事じゃない用途に使っている人もいるだろう。

● 手帳をデジタルに置き換える工夫は昔からあった。その名も電子手帳というのを,シャープやカシオが生産していた。
 Zaurusというのもあった。懐かしいな。これを使っている人はけっこういたけど,実用になったんだろうか。
 Palmっていうのもあったね。これは小さな巨人だなんて要ってる人がいたよ。Palm専用の雑誌があってね。

● 今はスマホが普及して,スマホでGoogleカレンダーを使う。手帳のデジタル化がやっと実現可能になった。
 が,それと比例するように,紙の手帳が増えた。バラエティーが多彩になった。売上も伸びた。

● もうひとつ,手帳の大型化が進んだ。お仕事手帳しかなかった頃は,手帳は小さいものだった。能率手帳が小さいとは感じなかった。
 が,それから幾星霜。バイブルサイズのシステム手帳が一世を風靡した。それが契機になったのかどうかは知らないけれど,大型の手帳があたりまえになった。
 手帳の大型化が始まったのと,自殺者が顕著に増え始めたのは,時期的に重なるのじゃないかと思う。大型化が行くところまで行って落ちつくと,自殺者の増加もとまった。

● 牽強付会だとわかってますよ。でもね,手帳が大型化するって,あんまりいいことじゃないと思っているんですよ。
 A5サイズで見開き2ページで1週間分のバーチカルのスケジュール欄があるなんて,異常でしょ。そんなに細かく管理しなければ仕事が回らなくなってるとするなら,それ自体がおかしいと思う。
 自分の人生をそこまで仕事に明け渡していいのかよ。仕事にそこまで大きな顔をさせておいていいのかよ。

● いや,そうしないとクビになってしまうっていうなら,今の企業や役所が分不相応のふるまいをするようになったってことだよね。何とかとめる方法はないものかね。
 仕事をゲームと捉えて,のめり込める人ばかりじゃないんだけどね。そういう人はそういう人なりに工夫はしなきゃいけないけど(言われなくてもやってると思う)。

● さらにもうひとつの特徴は,手帳が分厚くなってきたってことだ。1日1ページの手帳が市民権を得た。ほぼ日手帳が起爆剤になった。それ以前にEDiTやモレスキンが存在していたのかもしれないけど,ほぼ日手帳によってこれらの知名度もあがったのではないか。
 部厚くなったのはビジネスからの要請ではない。ここが大型化とは違うところ。ここでもほぼ日手帳が示した航路の影響が大きい。「手帳=スケジュール帳」を明確に否定するところから始まった,っていうね。

● で,この『手帳事典』なんだけど,昔からあるお仕事手帳はあまり出てこない。最近登場したもの,しかも,たとえば自分手帳のようなインパクトがあるものがメインになっている。
 デザイン手帳やエッジが立っている(と思われる)手帳が絵になりやすいのかもしれない。
 ちなみに,ぼくが使っているBindexのNo.011などは,まったく出てこない。

● 巻末の土橋正さんの発言から,ひとつだけ転載。
 実は,予定ってそんなに書くことがないんですよね。それよりも,人はタスクのほうを多く抱えている。(中略)スケジュール管理が大変っていうのは,実はタスク管理の大変さなんだと思います。(p189)

2017年3月13日月曜日

2017.03.12 三菱鉛筆の「創業130年限定セット プレミアムノートブック付」がまだ売れ残っている

● 昨年8月に,宇都宮のヨドバシ文具売場で,三菱鉛筆の「創業130年限定セット プレミアムノートブック付」というのを買った。uniが1ダースに「プレミアムノートブック」が付いていて,1,100円。ノートに惹かれた。uniは職場に寄付。
 「プレミアムノートブック」は無事に最後まで使えた。鉛筆で書くのに最適になるような紙なのだろう。ぼくは万年筆で書いた。

● 万年筆で書くと,ダイスキンとの違いはさほどない。いや,違いはあるんだけれども,ダイスキンが書きづらいと感じることはない。
 ぼくはプラチナのブルーブラックを使っているんだけど,少なくともプラチナのインクでは,ダイスキンでも裏抜けはまったくないし,ペン先と紙との摩擦がちょうど良くて気持ちがいい。

● その「創業130年限定セット」がまだ売れ残っている。980円に値下げされてた。ではもう1回,買う? んなわけない。
 「プレミアムノートブック」も1冊使って気がすんでる。

● 夢を,実現したのは,一本の鉛筆だった・・・・・・「創業130年限定セット」の売場に掲げられている三菱鉛筆のコピーだ。陳腐だけれども,コピーとしての訴求度は高い。書くことの力を研ぎすませて文章にすれば,こういうコピーになる。
 ただ,このコピー,メーカーのサイトには上がっていないようだ。

● 鉛筆なら2Bを好む。書き味が柔らかいのと黒がクッキリするからだ。その代わり,字がこすれて紙を汚す。手帳には向かないと感じる。
 数年まで,0.5㎜のシャープペンに2Bの芯を入れて,手帳に合わせていた。消せるから。けれども,こすれ汚れが嫌になって,極細の水性ボールペン(PILOTのHI-TEC-C)に替えた。

● 手帳はそれでいいとして,時々,墨芯で字を書いてみたいと思うことがある。Hi-uniには10Bがあるらしい。柔らかいクレヨンのようなものだろうか。
 この鉛筆一本と小さなスケッチブックを抱えて,晴れた日に散歩に出て,1時間か2時間,絵を描く。そんな生活に憧れる。ま,ぼくは絵心がまるでないので,憧れだけで終わりそうだけど。